さて、セーヌにかけられた飛行機の大比翼の上を歩いて渡ってみよう。長さ207.75m、幅31.6mのこの橋は、歩道がやたら広く、ベンチとおぼ しき木製の柵が車道とのしきりに使われているほか、のっぺりしている。橋を渡るという緊張感もわくわく感も与えてくれない。河岸に降りて橋を下から眺め、 つるりとした楕円形の橋の裏側を見て初めて、そのオリジナリティにはっとするのだ。

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河岸に不思議なものがある。人に聞くと、この銀色の円形の塔はたぶん船舶用石油タンクではないかと言う。やはり実用的なものだったわけだが、この橋 のたもとでは単なるオブジェとしても十分通ってしまう。ローラーホッケーの練習をしているのは女性たち。にこやかな笑顔が気持ちいい。浮浪者たち が橋の下に寝泊まりしている。石には苔が生えている。テクノロジーの粋と遊びが有機体の密かな息づきと難なく同居している。

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眺めた対岸(13区)に、これまた不思議なガラスの建物が現れた。巨大な緑色の龍のような動物が浮き彫りになっているのだ。さては、これは13区の チャイナタウンの超大物、「陳氏百貨商場」がここまで進出してきたのか、と思ったが、工事主はEiffel。あのエッフェル塔を造ったエッフェルだ。その子孫の会社が建設を進めているのはショッピングモールで、水の上にせり出した緑色の蛇みたいなところは階段通路になるという。光に満ちた水辺の通路。オープン時にはぜひここに来て、宙に浮いたような透明のパサージュを通ってみよう。

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