Ste tournelle2_S

さて、中世に戻ると、12世紀に左岸に「トゥルネル」と呼ばれた櫓があり、ここからパリに入る船を見張っていたという。この tournelle という言葉自体、tour(塔)から派生したもので(エッフェル塔はTour Eiffel)、tourelle(櫓)から来ているとか。1340年に船着き場が建設され、ここから瓦や薪などを荷揚げしていた。1372年の古い絵は がきを見ると、すでに櫓ではなく、Fort de Tournelle(トゥルネル城塞)が建っているが、この塔になった城塞は16世紀に苦役をする囚人の監獄となり、革命のときに壊された。

ところで、トゥルネル河岸と聞いて、グルメならばすぐに橋の正面にある「ラ・トゥール・ダルジャンLa Tour d’Argent(銀の塔の意)」を思い出すのではないだろうか。いわずと知れた美食の殿堂、ヨーロッパで最も古い最高級レストランだ。

tourdargent

この国ではどこの 都市でもレストランはほぼすべて地階、でなければせいぜいその上の一階である。パリには今でこそ高い場所から外を眺めるレストランがいくつかあるが、トゥー ル・ダルジャン(この方が通称)はほぼ400年の間、唯一無比の眺望レストランとして君臨した。最高のカモ料理を王侯貴族のような室内で味わう醍醐味は、 ミシュランガイドの創立当初1933年から三ツ星レストランとして別格として扱われてきたが、時の趨勢に乗り遅れ、1996年に二つ星に降格、残念ながら 今は星が一つになってしまった。美食には縁がないながら、高いところと歴史建造物の好きな私は、トゥール・ダルジャンの窓から眺めるノートル ダムはどんなだろうかと憧れている。(その3に続く)

※ピエール・ミニョン 2006 ミレジム・キュヴェ・マダム (Pierre Mignon 2006 Mil…