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そんな美食の殿堂にあやかろうと思ったのか、その反対側のサン・ルイ島に和食の店「勇鮨」がある。今でもサンジェルマンにあるパリ最初の鮨屋「築地」から 独立した板前さんがご主人だ。トゥール・ダルジャンのけばけばしさとは比べ物にならない小さな、日本のどこにでもあるような店だが、パリにSUSHI の看板が溢れるようになるずっと前から超一流というクラス分け。わたしは食べた事がないが、無口で頑固なオヤジが握る鮨のネタは新鮮で味もいいと聞く。サ ン・ルイ島の住民でそこで働いていた人によると,毎日予約でいっぱいとか。

すっかり話が橋からそれてしまった。

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ノートルダム大聖堂の後方は正面と様相がかなり違うが、このトゥルネル橋からその後ろ姿を目の前で見る事ができる。サ ン・ジュヌヴィエーヴ塔の下はちょっと引っ込み、ほこらのようになっている。そこに寝袋とリュックを置いたのは、若い旅行者だろうか、この場所を見つけた 孤独な旅行者の興奮が伝わるようだ。ここをねぐらにするとすれば、彼は一晩中ノートルダムを独り占めできるのだから。

「遠ざかるノートルダム」というエッセイで森有正がこの大聖堂の後ろ姿について書いていた。当たり前の建築物でないということは誰が見ても感じるところだ。

その建築美をもっと堪能したい人は、ブキニストと呼ばれる河岸の古本屋の脇を通り抜けて、世界遺産になっているセーヌ河畔に降りてみよう。夕暮れ時など、本当に素晴らしい光景が広がる。心地よい風に頬をなでられながら川端でピクニックするのも一興だ。第一、この場所はよく 映画の撮影に使われる。映画の題名は忘れたが、正装したウディ・アレンがテーブルを持ち込み、白いクロスをかけて食事をしていた(たぶんチキンロースト だったと思う)のもこの河岸だった。

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