さて、「パリは燃えているか?」という米仏合作映画(’66年)について話したい。

監督はルネ・クレマン、フランシス・フォード・コッポラも脚本に加わった、歴史に基づいたドキュメンタリータッチの名作だ。ドイツ軍に占領されたパリが、地方で密かに進められていたレジスタンス運動と連合軍のノルマンディー上陸によって解放される直前の話だ。まだ見ていないのなら、映画ファンならずともぜひ見るべき一本だと思う。誰もいないサン・ミッシェル橋をドイツ軍の戦車が通るシーンが、白黒の映像美で描かれる。

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敗戦の色濃いドイツ軍の総統ヒトラーが、どうせ降伏するなら腹いせにパリを爆破せよ!と破壊命令を下す。いくら背水の陣とはいえ、パリを焦土に化そうとは、ヒトラーはパリが憎かったのだ。しかし、いくら総督の命とはいえ、ドイツ軍の指揮官にはそれはできなかった。最終的に命に従わず、パリは破壊から救われる。そこに至るまでの模様を手に汗握る緊張感で演じる大物俳優の面々。

仏独米英関係を把握し、歴史への理解を深めるために、人間、とくに西洋人を洞察する上で、そしてパリの美を見いだすために、あるいはただ単に映像の力を再確認するためにも、絶対おすすめの作品だ!

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最後に、サン・ミッシェルとは、大天使聖ミカエルのこと。英語のマイケル、ロシア語のミハイルという名前は大天使ミカエルに由来し、フランスでも ミッシェルはよくある名前だ。サン・ミッシェル橋の前の広場奥の泉の上にこの大天使が高くそびえている。カトリック教会ではミカエルに捧げられた教会や修 道院があちこちにある。アヴランシュ司教の夢に何度も出てきて岩山に聖堂を建てさせたのが、あの世界遺産モン・サン・ミッシェルとなった。