さ て、冒頭(その1)に「恋人たちの待ち合わせ場所」と書いたが、この「芸術橋」は、一時期「恋の成就祈願」橋として、橋のフェンス に色形さまざまな錠がかけられていた。錠には必ず恋する二人(片思いの場合も)の名前とハートマークが記されたり刻まれたりしていた。かけたら鍵は セーヌに捨てるとか。2009年あたりから始った。ことの始まりはモスクワとか、イタリアとか 説はさまざまである。

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それが、2010年の春のある晩、一晩で消えてしまった。それまで無数の愛の錠がたわわに「実って」いたのに。それに気づいたフラ ンス人ジャーナリストがパリ市に問い合わせてみると、「うちは介入していない」という答えだった。無数の錠は歴史建造物にはふさわしくない。な くなってくれた方が望ましいはずだ。パリ警視庁も、「そういった(錠をはずす)依頼は受けていない」と答え、誰が錠を外 したかは分からずじまいだったとか。それにしても、1600もの種類の違う錠を人に知られず短時間に開けられるのは、プロしかいない。しかも何人も必要だ。い つ誰が、どこの指令で取り外したのか・・・? ミステリーだ。

しかしそれから5年経って、前にも増して錠はぎっしりかけられ、その重みで橋が一部壊れたことから、パリ市議会は取り外しを決定。この数ヶ月はベニヤ板のみじめな姿だった。ようやくガラス張りのフェンスになって登場。しかし、やはり錠をつけていく懲りない人たちがいる。

amoureux2(写真は2013年頃)

ここに愛の錠をかけて行くのはおもに観光客だ。本人たちはパリに恋心を永遠に閉じ込めたつもりだから、まさか捨てられたとは知らないだろう。それにしても、それらの錠に込められた愛の願いの行方はいかに?