左岸のオルセー美術館から対岸のチュイルリー公園に渡る歩道橋。存在は知っていたが、なんだか馴染みがない。パリの住民 のどれだけの人がこの橋を渡るだろう? 18年、セーヌ河岸に近い中心に住んでいても、わたしがこの橋を通ったのはほんの数えるほどしかない。初めて渡ったのは、たしか2004年の夏頃だったと思う。オルセー美術館の図書部 で働いている知人を訪ねたあと、この橋を通ってセーヌ川を渡り、チュイルリー公園を抜けてそのままヴァンドーム広場方面に向かった。

それより、わたしはてっきりこの橋の名前はソルフェリノ橋(Pont de Solférino)だとばかり思っていた。が、来てみると、レオポール・セダール・サンゴール橋(Passerelle Léopold-Sédar-Senghor)となっている・・・?

日本語ではどちらも「…橋」と訳されているが、フランス語で ” Pont ” は「橋」、 ” Passerelle ” は「歩道橋」だ。以前渡ったのも同じ橋だったはずなのに、いつの間に名前が変わったのだろう? 何度見ても名前は「レオポール・セダール・サンゴール」歩道橋 (passerelle)。いつから「ソルフェリノ」橋(pont)でなくなったのか? 橋の歴史を見てみよう。

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1859 年、イタリアのソルフェリノの闘いで戦勝した兵隊がパリに凱旋した。その記念にナポレオン三世(第二帝政の皇帝)の命で最初の橋の工事が始った。1862 年に除幕式があり、オルセー側のアナトール・フランス河岸とチユイルリ−河岸を結ぶこの橋は、ソルフェリノ橋と命名された。鋳鉄製で、車両も往来し、橋に 続く左岸の通りも同じ名前で呼ばれた(ソルフェリノ通り)。しかし、数回にわたる川船の衝突によって脆弱化し、1世紀後の1961年に鋼製の3径間アーチ の歩道橋に架け替えられ、1992年まで使われる。この橋の名前もソルフェリノといい、 ” Passerelle ” ではなく、 ” Pont ” のままだった。(その2に続く)

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